6月28日、メリーランド州アナポリスの新聞社が散弾銃を持った男に襲撃され、記者や編集者など5人が殺害される衝撃的な事件が起きた。米国では子どもたちを狙った学校内の銃乱射事件が多発しているが、今回は異例にも新聞社が標的にされた。
そのため、「メディアは国民の敵だ!」などと激しい言葉で攻撃してきたトランプ大統領にも責任の一端があるのではないか、との批判が高まっている。つまり、ジャーナリストに対する憎悪をかき立てるような大統領の言動が、結果的にこのような事件を招いたのではないかということだ。はたしてどうなのか。
「国民の敵」というのは旧ソ連の独裁者スターリンが罪なき人々を処刑する時に使った言葉だと言われているが、ロシアのプーチン大統領など独裁的な指導者を称賛し、民主主義や報道の自由を軽視する言動が目立つトランプ大統領のもとで、米国の報道の自由はかつてないほどの危機に直面している。
憎悪と暴力を助長するメディア攻撃
1776年の米国独立宣言の約50年前に創刊された老舗の地方新聞社、「キャピタル・ガゼット」(以下、CG社)が憎しみの銃弾の標的にされた。犯人は38歳の白人男性、ジャロッド・ラモス。当局によれば、彼はニュースルームで速射式の散弾銃を発砲した。オフィスには2つの入り口があるが、前もって誰も部屋から出さないように後ろのドアを開かないようにしていたという。