総裁選で大義名分なき「省庁再々編」が急浮上した理由

2018年9月11日公開(2018年9月11日更新)
ダイヤモンド・オンライン編集部

 当時、首相秘書官として「再編の画」を描いた衆院議員の江田憲司氏はこう話す。

 「6大改革には、次の内閣での政策の目玉を上げてこいと各省に指示を出して、持ち込まれたものもあったが、省庁再編は、橋本首相が『土光行革』にかかわって以来、ずっと温めていたものだった」

 当時、接待汚職事件や、住宅金融専門会社(住専)への公的資金投入をきっかけに、財務省(当時は大蔵省)などに対する“密室行政批判”も高まっていた。

 「湾岸戦争の戦費拠出や阪神大震災でも、縦割り行政によって対応が遅れたほか、肥大化した公共投資や郵政事業など、長年の課題が放置できないところまできていた。省庁再編は、安定成長時代に対応した政府の枠組みを作るための課題だった」と江田氏は言う。

 だが、今回の「再々編」ではこうした空気は感じられない。むしろ唐突感のほうが際立っている。

 目指すものは一体、何なのか。

 党内から聞こえてくるのは次のような事情だ。

 「3選後、首相の頭の中にあるのは改憲だ。だが来年以降は、今上天皇の退位に加えて、統一地方選や参院選とった政治スケジュールが目白押しだ。それまでに改憲で自民党内の議論をまとめるのは簡単ではないし、連立相手の公明党も改憲には慎重だ。その意味で、再々編は、改憲ができそうにないときの“目玉政策”になり得るということだ」

 しかし、前回の経緯を見ても、省庁再編は生半可にできるほど甘くはない。再編の議論が具体化すると、各省庁や族議員が一体となって抵抗勢力となり、組織防衛に走るからだ。

 前回も、当時の建設省からの河川局を独立させて農水省などの関連部門と統合する「河川省」構想は頓挫。財務省改革では、検査部門などを金融監督庁(現金融庁)として切り離す「財金分離」こそ一部実現したが、「歳入庁」構想は大蔵省の根回しで動いた歴代の自民党税調会長らの圧力であっさりつぶされた。

次のページ

国民にとっては何も生まない可能性

TOP