まるで総裁選告示に合わせたように、自民党の「中央省庁再々編」の中間報告がまとめられた。「厚労省分割」や「国税庁の財務省からの分離」「農水省の経産省への吸収」といった情報がまことしやかに流されている。狙いは何なのか。(ダイヤモンド・オンライン特任編集委員 西井泰之)
総裁選に合わせて出された提言の
「真意」をめぐり広がる波紋
9月5日、自民党の行政改革推進本部(甘利明本部長)は、「2030年を見据えた行政改革についての中間報告」と題した文書を発表した。副題は「検証、今日的視点から見た『橋本行革の光と影』」だ。
その中身は、橋本龍太郎政権で打ち出され、現在の「1府12省庁」体制になった「省庁再編」を検証するとともに、省庁や政策分野の課題を挙げたものだ。
例えば、 内閣府は「非常に多くの案件が持ち込まれ、当初予定した強力なリーダーシップを発揮できていない」。政策分野では「厚生・労働」は「大臣などの国会対応、業務の量がきわめて多くなっている。業務で相乗効果が見られるところと見られないところの違いが大きい」、そして「農林水産業」は「農業をより成長産業とするための戦略を実行できる体制にする議論が必要」といった具合だ。