総裁選で大義名分なき「省庁再々編」が急浮上した理由

2018年9月11日公開(2018年9月11日更新)
ダイヤモンド・オンライン編集部

 また、「自治省の地方分権推進庁」構想や「郵政省解体」も、総務省化と郵政事業庁への分離といういびつなものになった。

 「省庁再々編の理念もはっきりしない中で、各省が政治に働きかけて本気で抵抗し始めたら、いかに安倍政権でも求心力は弱まり、政権基盤がガタガタになる可能性がある」と前回の再編で与党内からの猛烈な巻き返しを経験した江田氏はこう語る。

 こうした声は、自民党内や官邸にも少なくない。当初、告示前の9月6日に予定されていた安倍首相に対する提言が総裁選後に先送りされたのも、こうしたした空気に配慮してのことだという。

「泰山鳴動」でもいい
霞が関支配の「抜かずの宝刀」

 こうして見てくると、結局は「大山鳴動して鼠一匹」となる可能性もある。だが、「それでもいい」という声が聞こえてくる。関係者の話から浮き彫りになるのは、思わぬ狙いだ。

 「嫌がる省庁再々編をちらつかせることで、霞が関に言うことを聞かせる手段になる」(関係者)というのだ。

 省庁再編は、政治サイドとしてもすさまじいエネルギーを使うが、防御する側の官僚たちはそれ以上のパワーが必要となり、各省庁の幹部たちは猛烈に嫌がる。つまり省庁再々編を脅しに使って官僚に言うことを聞かせる、“抜かずの宝刀”にしようというわけだ。

 安倍政権が、過去最長の在職記録となるほど安定している大きな要因は、官邸主導で各省を抑え込んできたことだ。その“統治手段”は、「人事」と「情報」を握っていることだ。

 各省の幹部人事を内閣人事局で一元化して決定。官邸が直接、名指ししたり、各省に「複数の案」を出させて官邸が選択したりして、人事を官邸の意のままにしている。

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