――デカい話ですね。

 といっても、遠くのデカい話ではなく、すでに足元にあるデカい話ですよ。例えば、決済や銀行のこれからに関わる法律としてEUで2018年初頭に施行された「PSD2」(Payment Services Directive 2)なんかをみれば、決済周りで今後どういう事業が起こってくるのか大まかな道筋はもう描かれているんですね。来るべき未来に向けた法律がすでに施行されてるわけですから、あんな未来もありうるよね、こんな未来もあるよね、なんて漫然と言ってる場合でもないのかな、と。

――それって、だいたいどういう絵図なんすか?

 たとえば、「PSD2」って法律は、ふたつの新しいタイプの事業者を規制の対象としていて、それは「決済指図伝達サービス提供者」(PISP: Payment Initiation Service Provider)と「口座情報サービス提供者」(AISP: Account Information Service Provider)というものなんですけど、それが何を指しているのかをよく読み込めば、これからの決済が、概ねどういう構造で組み上がっていくと考えられているのかは見えてくるはずなんです。

――これからでてくるであろうもの、が規制の対象なんですね。

 あるいは、これもムックのなかで紹介しているんですが、この10年間、インドの行政府は、かなりダイナミックなデジタル変革をやっていて、そのプログラムにおいても、これからの金融とデータビジネスに関わる新しいプレイヤーのコンセプトが描かれているんです。「データ管財人」(Data Fiduciary)、あるいは「アカウント・アグリゲーター」っていうものなんですけど。

――それって銀行と関係ある話なんすか?

 関係大、ありですよ。ここでいうアカウント・アグリゲーターサービスには、おそらく色んなプレイヤーが参入しうるんだろうとは思うのですが、ただ、扱うものが、お金にしても、データにしても、人の資産だという点では変わらないと考えると、それが銀行のビジネスの延長線上にあることは想像つきやすいはずなんです。もちろん、その新しいビジネスを執り行うメインのプレイヤーが必ずしも既存の銀行なのかというと、そうでなくてもいいんですが。

――あ、そこは違うんですね。

 ほかのプレイヤーがそこに参入できないかというとそんなことはないと思うんですが、ただ今後、そうやってデータを扱っていく業者は、それなりの信頼を担保できるプレイヤーでないとダメなんだとは思うんです。