若手社員はなぜ、「石の上にも三年」を待たずして、あっさりと辞めてしまうのか。中間管理職と若者世代の間に大きく横たわる仕事観や人生観の溝は埋めようがないのだろうか。「おじさんと若者」間のディスコミュニケーションはどう防ぐべきなのか。産業医の大室正志氏とハピキラFACTORY代表取締役で会社員、大学院の特任助教でもある正能茉優氏が、「若手の育て方」の最適解を真剣に議論する。(取材・文:大矢幸世+YOSCA、企画編集/FIREBUG+武田鼎)
「異能の若手」を
企業が生かすには
大室正志(以下、大室) 今は“個”の時代だから、就職せずに自ら起業する若者もいるし、起業してから会社に入る人もいる。正能さんはまさにそうですよね。かつて大企業に入社することは大きな意味を持っていたかもしれないけど、今はだいぶ様変わりしてきた。
正能茉優(以下、正能) ただ、様変わりしてきた今の社会でも、起業するような人が企業に入って、自分の会社と同じように機能するかというと、答えは「ほぼNO」だと思います。「どんな人か」「どんなことができるか」ということよりも、手前の段階でそもそも「異質な存在」として距離を置かれてしまうのかもしれません。