「ええ、まあ。」
「で、どう? 話は進んでるの?」
「え、話って?」
「やぁだー、決まってるじゃない、結婚話よ~。いつご両親に紹介するつもり?いい?そういうのはね、タイミング逃しちゃダメよ!」

 B子さんは独身の38歳で経理課の主任です。女性社員のリーダー格でテキパキと仕事をこなし、上司からも後輩からも頼られる存在です。A子さんも、新卒の頃から何くれとなく面倒を見てもらい、何度か仕事のピンチを救ってもらったこともありました。

 そんな調子で面倒見がよく姉御肌なのはいいのですが、先週のランチでは今住んでいるアパートの家賃や父親の年収まで聞かれるなど、プライベートに深く踏み込むような質問を繰り返すB子さんに、A子さんは正直迷惑していました。

 A子さんも、最初は気にしないようにしていましたが、そのうちランチに誘われるのがゆううつになりました。かといって、面と向かってランチを断るのも角が立つのではないかと考えると、なお一層気が滅入ってしまい、このままでは会社に行くのがイヤになりそうです。ただ、会社が用意した「職場の困りごと相談室」に話す勇気はありません。

その行為、「個の侵害」にあたる危険あり!

 B子さんの行為は、親切心や友達感覚で行ったものだとしても、度が過ぎれば厚生労働省が提唱するパワハラの類型の一つである「個の侵害」にあたる場合があります。これはプライバシーの侵害という意味で、職場において、相手が望まないような個人的な質問を繰り返し、相手を困らせたり不快にさせたりすることを指します。質問する側にとっては単なる好奇心で、困らせるつもりなどなかったとしても、相手にとってはプレッシャーになりかねません。