CxOの課題解決にフォーカスし
経営全般のイノベーションを支援
最近では、デジタル変革(DX)支援を目的に、コンサルティングファームやITベンダーなどが、いわゆるオープンイノベーション施設を開設する例が増えている。それらの施設とGreenhouseの違いはどこにあるのだろうか。
「既存のオープンイノベーション施設の多くはデジタルテクノロジーに傾注している印象を受けます。われわれも、AI(人工知能)やデータサイエンスなどデジタルテクノロジーの領域を扱いますが、GreenhouseはCxOの課題解決にフォーカスしています」と桐原氏は話す。
CxOが抱える課題は、当然ながらデジタルテクノロジーの活用に関わるものだけではない。人事・組織、グループ・ガバナンス、リスクマネジメント、世界情勢分析、経営戦略の立案など非常に多岐にわたる。
「イノベーションの創出は、テクノロジーだけでなく企業経営全般に関わってくるものですので、幅広いスコープで課題や問題点を見ていく必要があります。税務やファイナンス、セキュリティなども含めて、それぞれに変革が求められる時代なのです」(桐原氏)
例えば、デジタルテクノロジーを活用した新規事業を立ち上げようとする場合、事業性評価や人事評価を含めて新たなルールを作ったり、社内のステークホルダーの合意を形成したりする必要がある。また、新規事業を拡大する過程では、資金調達や経営資源の配分について、制度改革をする必要もあるかもしれない。それらを網羅的にカバーし、イノベーションの実行を支援するのがGreenhouseなのだという。
新任CxO向けのラボでは
12ヵ月のアクションプランを策定
Greenhouseで行われるセッションは、「ラボ」と呼ばれる。日本のGreenhouseでは現在、「アナリティクス」「イノベーション」「ストラテジー」「トランジション(移行・変化)」「トランスフォーメーション(変革)」「リレーションシップ」の6つの中核テーマに基づいて、約20のラボを提供する。課題に合わせたカスタマイズも可能で、ラボのバリエーションも順次、増やしていく予定だ。
6つのテーマのうち、例えば「トランジション」では、CEO(最高経営責任者)、CSO(最高戦略責任者)、CFO(最高財務責任者)といった職務別にラボが用意されている。「トランジションラボでは、新任のCxO、あるいは次期CxOの方々の参加を想定しており、最終的なアウトプットとして今後12ヵ月のアクションプランを策定します」(桐原氏)。
実際のセッションでは、世界各国のCFOが共通して抱えている課題が書き出されたフレームワークを基に、新任CFOが自社の課題、本人の課題、CFO組織としての課題などをデロイト トーマツのメンバーと対話しながら設定し、それぞれの課題をクリアするためのアクションプランを作成する。このセッションを通じて、CFOは就任初日から何をすべきかを明確にできる。
また、「イノベーション」をテーマとしたラボでは、イノベーション創出に関する共通言語や基礎知識の習得といった基礎過程に始まって、イノベーション関連施策に関する有効性評価とブラッシュアップという応用過程、簡易プロトタイプの作成・ユーザーテスト、デザイン思考による課題解決アプローチという実践過程までを数日かけて体感する。