文大統領はリーダーシップを取らない
文大統領政治の数ある特徴は、拙著新刊『文在寅という災厄』でも述べたが、以下の3つに集約できると考えている。
1、 現実を直視せず自分に都合のいいように解釈する
2、 国益を考えず原理原則にこだわる
3、誤りを認めて謝罪せず常に自分が正しいと主張する
さらに今回目立ったことは、責任回避である。韓国の文在寅政権を批判する際によく言われることは、文大統領とその側近グループは自分たちが評価されることには前面に立って取り組むが、都合が悪くなると官僚に責任を負わせて知らんぷりするということだ。
日本が1日、フッ化ポリイミドとエッチングガス(フッ化水素)、レジストの3品目について、輸出管理を包括的な許可から個別審査に切り替えると発表してからも、文大統領はその対応を洪楠基(ホン・ナムギ)経済副総理以下の経済チームに任せ、自らは米朝会談以降の北朝鮮との融和に取り組んできた。
この問題が日韓経済関係を揺るがす事態に発展する懸念が高まったところで、文大統領はようやく重い腰を上げた。しかし、自ら主宰した会議の結論は、経済関係の閣僚たちが出した結論と何ら変わるものではなく、大統領としてこの問題にどのように取り組むのかは、輪郭さえも見えてきていない。