日本最大規模の外食チェーンである日本マクドナルド(本社・東京都新宿区、日色保CEO)。全国に約2900店舗を展開する同社でいま、サプライチェーン全体の中長期的な最適化に向けた取り組みが加速している。昨年8月には、利用物流会社のHAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン(HAVI)、富士エコーと共同で、利用配送拠点(DC)から各店舗への配送業務を平準化する取り組みを実施し、国土交通省と農林水産省から物流総合効率化法(物効法)の認定を受けた。さらに、今年6月には、読売新聞社とHAVI、永尾運送との4社で、食塩と夕刊新聞の共同配送に着手し、2回目となる物効法認定を取得。今後も、サプライチェーンを全体最適化する観点からさらなる物流効率化を進めていく考えだ。
休配日設定など店舗配送を平準化、ドライバー負担を削減
日本マクドナルドの食材などの年間配送量は約5000万ケース、約55万tと膨大な数量に及ぶ。多種多様な資材を2温度帯のトラックに積み、全国に13ヵ所ある利用配送拠点(DC)から約2900ヵ所の店舗に、1店舗あたり週平均4.6回のペースで納品している。
その中で同社は昨年、店舗配送体制の平準化・効率化に向け、HAVI、富士エコーとの3社共同で取り組みを開始した。従来は、各店舗の事情を優先した納品計画を策定したため、曜日による配送回数の変動や低積載率での配送などが発生。一方で、物流業界の人材不足や地球温暖化への対策も急務とされていた。
そこで3社は、国内13ヵ所のDCから各店舗への資材の配送体制を見直し、納品時間帯と週の納品日の平準化施策を実施。納品時間帯の施策では、納入先である店舗へのサービスレベルを見直し、配送トラックの回転率とDC内の作業を効率化することで、時間帯ごとでばらつきがあった納品体制の平準化を実現した。
施策の実施後は、深夜(0時~6時)の時間帯の納品が22%、午前6時~12時が29%、午後12時~18時が29%、18時~24時が20%と全ての時間帯で20%台の納品率を達成した。
また、週の納品日では、水曜日を休配日に定め、その分の物量をその他の平日に分散した。さらに、飲料原液や食用オイル等の重量勝ちの資材について、納品計画と連動させることで、物量が集中する土日の納品を極力避け、店舗従業員の荷受け作業、倉庫作業、物量の平準化へと寄与した。
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こうした平準化の取り組みを進めた結果、物流コストは従来比1%超の低減を達成したほか、CO2排出量は年間481t、トラックの年間運行距離も地球約23周分に相当する91万7000㎞を削減。また、荷卸し時間は13%減となり、ドライバーの拘束時間は年間4万2000時間短縮するなど、ドライバーの労働環境改善に大きな成果を上げた。
同社サプライチェーン本部ロジスティクス部の梶野透部長は「物流会社のドライバーにアンケートをしたところ、高評価なコメントを多数いただいた。24時間稼働している店舗もある中で、サービスレベルの向上や欠品を防ぎつつ、雇用安定化、労働環境の改善に貢献できたことは非常に嬉しい」と成果を強調する。