持続可能なサプライチェーン構築へ
日本マクドナルドが踏み切った「物流改革」の中身

食塩と新聞の異業種混載による共同配送も展開

 さらに今年6月には、阪神地区において、食塩と読売新聞社の夕刊新聞を混載した共同配送を実施し、国交省と農水省、経産省の3省連名による初めての物効法認定を受けた。これまで、日本マクドナルドは4tトラックを活用して、サプライヤーから調達した食塩を週2、3回のペースで関西DCに運んでいた。一方、読売新聞社は2tトラックで、同社の各販売店に夕刊新聞を納品していた。今回の共配事業は個別に運送していた4tトラックの食塩輸送と2tトラックの新聞輸送を、2tトラックに集約して混載輸送するもの。運送スキームは、大阪市大正区にある食塩のサプライ拠点で食塩を積んだ後に、大阪市北区の読売新聞社で夕刊新聞を積載。その後、兵庫県西宮市の読売新聞社の販売店で夕刊新聞を降ろし、日本マクドナルドの関西DCに食塩を納品する。

 日本マクドナルドは従来、年間約230台の4tトラックを使って食塩を輸送していたが、共同化により、4tトラックでの輸送を廃止し、読売新聞社の利用運送会社である永尾運送の2tトラックに集約。週2、3回の納品回数を週5回にすることでよりきめ細かな納入体制を実現した。年間約450台の2tトラックで新聞と食塩を混載輸送するため、食塩の輸送回数は増えるものの、新聞と食塩を合わせた全体の車両数から削減できるため、CO2排出量は年間約1.1tの削減となる。

 衛生面では、日本マクドナルドの品質管理手法を適用することで厳格化。「一番の懸念材料は匂いだと考えていたが、新聞はそれぞれ梱包されている上、現在のインクは匂いがしない。そして、社内に現存する品質管理手法にのっとり懸念がないことを確認したうえで履行した」と梶野氏は説明する。

塩と新聞の共同配送作業(読売新聞社提供)

店舗従業員とドライバーの負荷軽減を両立
中長期的な目線でサプライチェーンの全体最適化を推進

 日本マクドナルドでは現在、サプライチェーンにおける全体最適化の実現を目指し、「JLOTF(Japan Logistics Of The Future)」と称する戦略を進めている。取り組みの柱となるのは、「店舗利便性の向上」と「サプライチェーンマネジメント全体の生産性向上」、「外部知見の最大活用」で、これらを通して「安定供給・品質・安全」のさらなる確立を図る。

店舗利便性の向上では、「店舗運営に集中できる環境を、すべてのレストランに」をスローガンに、店舗従業員の負担低減や納品体制の効率化などを実施。店舗での発注業務には、どの商品をどの程度納品するかを推奨する「納品推奨値」を定めることで、従業員による発注業務の負荷低減や発注量の平準化につなげている。また、今後は省人化・自動化を推進し、DCから店舗間の物流ネットワークを強化するとともに、さらなる従業員への負担低減を目指していく。

 サプライチェーンマネジメント全体の生産性向上では、物流コストやサービスの改善に加え、物流雇用の安定化やSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みに注力する。直近では、物流の効率化と環境負荷を考慮し、国内外に250ヵ所前後あるサプライヤーからDC間の調達物流において、輸送手段を鉄道に切り替えるモーダルシフトの取り組みを開始予定である。

 外部知見の最大活用では、産官学連携により、日本特有の物流課題に対応していく。マクドナルドは130の国と地域でビジネスを展開しており、そこで得られた知見に加え、行政や異業種企業のノウハウを組み合わせることで、新たなサービスの構築やサプライチェーン全体の最適化につなげていく。

 梶野氏は「当社は短期的を見た部分最適ではなく、大きな課題に対してどのような方向で進むべきか吟味した上で、平準化や共配をはじめとした取り組みを実施している。全国に2900店舗を展開していることもあり、ひとつの施策に対するインパクトが大きいため、中長期的な目線で全体を俯瞰しながら最適化し、実行に移すことが重要だ」と強調する。

【カーゴニュース 2019年7月18日号 掲載記事】

「カーゴニュース」:1969年10月の創刊から約50年間「経済の中の物流」という視点から一貫した報道を行っている物流業界専門紙。物流報道の中に‘荷主’という切り口を持った媒体として評価されている。主な内容は荷主企業の物流動向、行政の物流関連動向、トラック、倉庫、鉄道、海運、航空など物流企業の最新動向、物流機器、WMSソフトなどの関連ニュース等。週2回発行

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