「人間扱いされていない」
潜入記者たちの本音
――物流センターの現場だけでなく、例えばマーケットプレイスの出品者の打ち明け話でも、アマゾンは無機質な対応をする会社なんだな、という感想を持ちました。
マーケットプレイスの出品者の多くは「アマゾンに生殺与奪権を握られている」と訴えていました。商品の著作権侵害など、外部からクレームが来た場合、アマゾンはロクに出品者と話し合うこともなく、一方的にアカウントの閉鎖や削除を通告してくるのです。
普通なら、出品者と連絡を取り合って、何がまずかったのか、どうすればいいのかを話し合うと思うんですが、アマゾンはそれをしない。実は消費者に対してもそうで、アマゾンでの買い物で何か問題が起きた場合、彼らはコールセンターの電話番号すらあまりオープンにしていませんから、お客はどうしていいか困ってしまう。
――それだと、「人」がいる意味がなさそうですが。
そう。アマゾンの仕事は、アルゴリズム的、あるいはテンプレートを貼り付けたみたいなやり方なんですよ。きっと、業務の9割とかは「テンプレ通り」でうまく回るんじゃないですかね。でも、イレギュラーな出来事が起きたとき――例えば物流センターで人が倒れるとか、マーケットプレイスの出品者にクレームがつくとか、そうしたテンプレでは処理できない事態が起きると大変です。救急車を呼ぶのに1時間もかかってしまったり、出品者を問答無用で切り捨てるなんてことになるのです。
物流センターのバイトは時給だってそこそこだし、食堂の定食は350円、サラダは100円、メニューのブラッシュアップもしているし、センターの壁には、これでもかというくらいに健康を啓発するポスターが貼ってある。これのどこが非人道的なのか、とアマゾンは言うのかもしれない。
でも、アルバイトを人間としてリスペクトしているとは到底思えない。いくら定食が安かろうが、そういうことでカバーできないですよ。人を人として見ていないんだから。イギリスやフランスの潜入記者たちも、僕と全く同じ感想を持っていたのが印象的でした。



