アマゾンは5年後、何をどこまで支配しているか?Photo:The New York Times/AFLO

視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

アマゾンがアパレルに力を入れる理由

 アマゾン(Amazon)が最近、アパレル事業に力を入れているのをご存じだろうか。

 2016年、アマゾンはウィメンズ・アパレルのプライベートブランド(PB)「ラーク&ロー(LARK & RO)」を立ち上げ、欧米のアマゾンプライム会員限定で販売を開始した。

 米モルガン・スタンレーによると、2016年のアマゾンのアパレル商品の売上高は、なんとウォルマート・ストアーズに次ぐ全米第2位なのだそうだ。

 さらに2017年には、米国のアマゾンプライム会員限定で「プライム・ワードローブ(Amazon Prime Wardrobe)」というサービスも始めた。これは、ユーザーが自宅で商品を試着できるというもの。気に入らなければ、7日以内なら送料無料で返品できる。

 だが、上記2つの新事業のリスクは小さくないはずだ。アマゾンのPBは、これまでアマゾン経由で商品を販売していたブランドとの競合が避けられない。へたをするとアマゾンから撤退するブランドも出てくるのではないか。プライム・ワードローブは返品コストを全額アマゾンが負担しなければならない。

 アマゾンは、こうしたリスクを承知の上で、アパレル事業を拡大しようとしている。なぜだろう?