イノベーションへのアプローチを
問い直すタイミングがきている

小田急電鉄、ヤマハ発動機のイノベーション創出を
デロイト トーマツはいかに支援したか

 デロイト トーマツは、社会課題解決につながるインクルーシブ・グロース(包摂的な成長)を目的としたイノベーションを数多く支援してきた実績がある。最近の事例の一つとして挙げられるのが、小田急電鉄と米国のユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場企業)であるルビコン・グローバル(ジョージア州アトランタ)が連携して取り組もうとしているサーキュラーエコノミー(循環型経済)事業だ。

 ルビコンは、廃棄物事業者を「パートナー」と位置づけ、業容拡大のためのコンサルティングや共同調達によるコスト削減、テノクロジーを活用した業務効率化支援を手がけており、廃棄物事業者が抱える課題を解決することで、資源の浪費や廃棄物を減らすサーキュラーエコノミーの実現を目指している。

 小田急では、イノベーティブな企業風土への変革の一環として、社内公募制度「Climbers」(クライマーズ)の設立を筆頭に、SDGs(持続可能な開発目標)の視点からの新規事業創出に18年度から取り組み始めている。日本におけるサーキュラーエコノミーの事業化に向けて、19年3月にルビコンと基本合意した。

 小田急はルビコンのテクノロジーを活用した廃棄物の収集・運搬の効率化などの実証実験を行った上で、本格的な事業化を共同で検討していく計画だ。デロイト トーマツはそのグローバルなネットワークやCSV(共有価値の創造)、オープンイノベーションに関する知見を生かして小田急にルビコンを紹介し、事業化のアドバイザーを務めている。

 また、ヤマハ発動機とはモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)、サブスクリプション型サービスの立ち上げなどで共創してきた。

イノベーションへのアプローチを問い直すタイミングがきているデロイト トーマツ コンサルティング合同会社
パートナー
モニター デロイト
ジャパンプラクティス リーダー
藤井剛氏

 さらに、中長期的に大きな社会変化が起きる中で自社が果たしていくべき提供価値について継続的に討議し信頼関係を構築する中で、2030年に向けたMC(Motor Cycle:モーターサイクル)事業本部の長期ビジョンにもモニター デロイトが関わってきた。

 ヤマハ発動機は長期ビジョンの社内外へのブランディングを推進しており、モニター デロイトも構想初期からの「同志」として協働を続けている。

 「デザイン思考やオープンイノベーションなどイノベーション創出のための手法は広く知られるようになってきましたが、これらの手法を単独で取り入れただけでは、新しい価値を市場に浸透させ、収益化していくことは難しい。社会や顧客を起点とし、価値創出のための戦略、テクノロジー、デザイン、そしてそれらをシームレスに機能させるイノベーションマネジメント。こうした統合的な視点での取り組みを中長期的に継続することによって、会社全体をトランスフォーム(変革)していくことができ、最終的に真のイノベーションを創出できると私たちは考えています。ですから、私たちの支援は長い期間にわたることが多いですね」。モニター デロイトのイノベーション支援の特徴について、藤井氏はそう語る。

そうしたデロイト トーマツのイノベーション支援の一端を実体験できるセッションがDeloitte Greenhouseで実施されるInnovation Labだ。

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