創造性の解放に向け
製品群を強化・拡充
マクリディ氏に続いて壇上に立った米アドビ Creative Cloud担当エグゼクティブ バイス プレジデント兼最高製品責任者のスコット・ベルスキー氏は、この課題へのチャレンジは人類の必然だとする。
「クリエイティビティ(創造性)こそが人類の重要な特性であり、文明を発展させてきた原動力でもあります。ミケランジェロの『ダビデ像』や葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』などの作品を生み出した創造性が、時代を創ってきたのです」
Creative Cloud担当
エグゼクティブ バイス プレジデント兼最高製品責任者
だが今日、幾つかの要因が人々のクリエイティビティを大きく阻害している。「一例を挙げれば、オフィスやデスクトップPCなどに縛られた働き方が人々の円滑なコラボレーションを妨げ、制作に伴う煩雑な作業がクリエイターを圧迫しています」とベルスキー氏。アドビのクリエイティブプラットフォーム「Adobe Creative Cloud」では、これらの制約から人々を解放すべく機能強化や新ツールの開発が進められている。
例えば、新たにリリースされた画像編集ツール「Photoshop iPad版」やイラストレーションツール「Fresco Windows版」などにより、クリエイターはタブレットを使っていつでも、どこにいても、場所や時間に縛られずに高度なクリエイティブ作業が行えるようになる。また、開発中のスマートデバイス向けカメラアプリ「Photoshop Camera」などでは、アドビの人工知能(AI)「Adobe Sensei」が制作活動を支援する。
「これまで『写真・動画内の人物だけを残して背景を差し替える』といった作業にクリエイターは膨大な時間を費やしてきましたが、今後はそうした作業がワンタッチで済むようにAdobe Senseiがサポートしてくれます」(ベルスキー氏)
Creative Cloudによって実現されるクリエイティブの解放は、大人から子どもまで、全ての人たちに価値をもたらすと、アドビ日本法人のバイス プレジデントでマーケティング本部を統括する秋田夏実氏は強調する。
例えば、世界経済フォーラムが18年に発表した「仕事の未来レポート」では、世の中の仕事(タスク)の71%を人が行っているが、25年までには機械が担う仕事が50%以上になると予測。そうした中で重要度が高まる“人ならではのスキル”として、「創造性」や「課題解決能力」などを挙げている。
「これまで、私たちの仕事で最も重視されてきたのは生産性でした。AIの活用で生産性が大きく高まると予測される中、今後求められるのは創造性や課題解決能力を発揮していくことであり、アドビのCreative Cloudはまさにそれを支援します」(秋田氏)