「水リスク対策」最前線

国内では水道事業の
基盤強化が不可欠

 一方、国内で喫緊の課題となっているのが「老朽化した水道施設の更新」だ。水道事業は市町村経営が原則で、水道施設の老朽化(全ての管路更新には130年以上かかる)や職員数の減少(30年前から約3割減)などの問題に直面している。このまま放置しておくと、10~20年後には水の安定供給を維持できなくなる恐れがあるのだ。

 

 本来は中長期計画を立てて更新を進めていくべきだが、多くの自治体では職員が足らず、目先の漏水事故への対応で精いっぱい。では、どうすればいいのだろうか。

「18年の水道法改正によって、施設を統合して事業の効率化を図る『広域連携』や、民間に設備の運営・管理を委託する『官民連携』が行えるようになっています。本来やるべき中長期計画の立案・実行・進捗管理に専念できるように、こうした手段を積極的に活用して効率化を図るべきです」(滝沢教授)

 日本水道協会などでは随時、水問題に関するシンポジウムを開催している。まずはそうした場所で情報を収集し、今取り組めることは何かを検討してみることが必要だ。

 

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