税務署からの「警告」とは?

 ちなみに、相続が発生して5ヵ月が過ぎたあたりに税務署から「相続税申告についてのご案内」という書類が届くことがあります。この書類は、相続が発生した家庭全体の約15%に送られます。

 これが怖いのは、KSKシステムによる「相続税の発生しそうな家庭」という選定を経ていることです。この手紙が届いたら、「あなたのことはマークしていますよ」という税務署からのメッセージと受け止めてください。

 最後に、みなさんに強く伝えたいのが「税務署の影に怯えながら脱税するよりも、合法的な相続税対策をしたほうが金額的にも精神的にもよっぽど得をする」ということです。

 精神的な部分は言わずもがなですが、ポイントは「金額的にも」という点です。タンス預金で相続税を脱税しようと思っても、その金額はせいぜい数百~数千万円です。

 一方で、もし小さいお孫さんが何人かいれば、教育資金の一括贈与(1500万円×孫の人数)だけでタンス預金脱税をはるかに凌ぐ節税効果を得ることができます。

 他にも、保険料の支払いが一括である生命保険(一時払終身保険)に加入すれば、「500万円×相続人の数(相続人が3人なら1500万円)」という節税をすることも可能です。これまで紹介してきたように合法的な節税方法はたくさんあります。

 タンス預金脱税はリスクの割に減らせる税額が少ないのです。税務署にバレる・バレない関係なく、選択すべきではない方法といえるでしょう。

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