あなたの通帳は常にチェックされています
まずは申告額とKSKシステムの理論値との乖離から、税務調査に行く家庭に目星をつけます。次に、調査官は、亡くなった方の過去の預金通帳のチェックを行います。調査官は、銀行の取引記録を納税者の同意なく勝手に見ることができます。
ここで特に重点的に調べられるのが、現金引き出しです。私たちは普段から生活に必要な金額をATMから引き出しますよね。皆さんは1回、いくら引き出していますか?
この金額は人によって本当にバラバラです。月に20万円を引き出す人もいれば、1週間に3万円を引き出す人、半年に150万円を引き出す人もいます。ただ、もしも月に1回100万円を引き出していたり、1週間に1回50万円を引き出していたりしたら、「生活費にしては、ちょっと多すぎやしないか?」と感じますよね。
生活費として引き出しているように見せかけて、実際には、多額の現金をタンスに積み立てる人がたくさんいます。そして、そのタンス預金を相続税申告から外し、相続税を逃れようという魂胆です。
しかし、税務署はその道のプロです。「生活費にしては多すぎる」と感じたら、その点について徹底的に追及してきます。
税務調査では亡くなった方の預金通帳だけでなく、相続人の預金通帳もチェックされます。相続発生後に、故人が積み立てたタンス預金を「いつまでもタンスの中だと危ないから」と、自分の通帳に移し、その履歴からタンス預金が発覚することもあります。
相続人の通帳は、相続が発生する前の動きだけでなく、相続発生後から税務調査が実施されるまでの期間の動きも確認されます。降って湧いた入金があれば、徹底的に追及されるのです。
税務調査では、通帳等を保管している引き出しの中、家の金庫の中、銀行の貸金庫の中は必ずチェックされますが、家宅捜索のように、家の隅から隅までチェックされることはありません。
ただ、「この納税者は何か隠している」と判断されれば、話は別です。現に、台所下の収納スペースや、ガレージのタイヤの中、畳の下などに多額の現金を隠していたことが発覚したケースもたくさんあります。