新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」による感染拡大を受けても、米国内には十分な雇用が存在しているようだ。ここで問題になるのは、労働者がどれだけこれらの職を手に入れたいと考えるのか、そして雇用主がどれほどの切迫感をもって人手確保に当たるかだ。米労働省が8日公表した雇用動態調査(JOLTS)によると、7月末時点の求人件数(季節調整済み)は1093万件となった。これは失業者1人に対して1.3件の求人がある計算で、いずれの指標も過去最高を記録した。求人件数が大きく伸びた要因の1つとして、雇用主の採用ペースが鈍っていることが挙げられる。7月の採用件数は667万件と、6月の683万件から減った。これに伴い、採用件数に対する求人件数の比率――雇用主がいかに人手確保に苦戦するかを示す目安――は過去最高の1.64倍となった。これに加え、離職件数も増えており、デルタ株流行を巡る懸念再燃で、働くことへのためらいが広がり始めた兆候がうかがわれる。