世界で最も裕福な男が大衆の意思に従うと述べている。コインを投げて決めるのでも、あるいは「マジック8ボール(米国の定番占い玩具)」に尋ねるのでもなく、マスク氏が保有するテスラ株2100億ドル(約23兆7700億円)相当のうち10%の運命は今週末に行われたほぼ無作為のツイッター投票で決まった。「投票」した350万人のうち、何人がテスラ株主で、どの程度の割合だったのかは、決して分かりそうにない。だが、資産運用大手バンガード・グループが「イエス」か「ノー」を19万8000回答えることはできなかった。バンガードの保有株の規模は投票に反映されず、「平等」の精神が守られた。大量の売りを誘うとみられる「イエス」の投票結果は、株主の「民主主義」にとって明るく輝く瞬間ではないが、テスラのブランド精神とは確実に整合する。マスク氏はソーシャルメディア上での影響力を駆使して、テスラ株からゲームソフト小売り大手ゲームストップ株、暗号資産(仮想通貨)のビットコインやドージコインに至るまで、さまざまな資産価格を乱高下させてきた。