中国政府による投機的な不動産取引の取り締まりは、たとえ最悪のシナリオが回避できたとしても、今後数年にわたり経済成長を下押しするとエコノミストは予想している。中国政府は金融リスクを低減し、経済を一段と健全な軌道へと乗せるため、不動産市場をうまく軟着陸に導くことを目指している。不動産市場から理性を欠く行為を排除することは必要との意見でエコノミストは一致する。だが、当局の締め付けは主要な成長エンジンを少なくとも部分的に奪いかねないと指摘している。中国の政策担当者は成長とのトレードオフが存在することは認めているものの、不動産開発業者や住宅購入者への規制を撤回する気配は全くみせていない。オックスフォード・エコノミクスの試算によると、不動産とその関連産業は2016年の中国国内総生産(GDP)の24%を占めており、15%の米国を大きく上回る。また投機的な取引は、大量の雇用と地方政府の財政を支えてきた。不動産市場の活況がなくなれば、向こう数年の中国成長率は、これまで見慣れてきた6%超の水準ではなく、3~5%程度に減速すると見込まれている。