輸出主導型のドイツ経済は、かつては欧州を停滞状態から脱出させる信頼性の高いエンジンだった。しかし現在、欧州大陸全体が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う停滞から抜け出す中で、ドイツは後れを取っている。部品と労働力の不足を背景に、ドイツの自動車・工場設備のメーカーは生産面で苦境に陥っている。これらメーカーは、すでに極めて高水準にあった電力料金のさらなる上昇を招くエネルギー価格の急上昇に直面している。これらメーカーはさらに、クリーンエネルギーの新基準を満たすため、今後何年にもわたって数千億ドルもの投資を強いられる。国際貿易が容易で、グローバル化が急速に進んでいた時代は過ぎ去り、地政学的緊張と輸送面の障害、国内生産回帰の圧力がかかる時代へと移り変わってきた。ドイツにとって最大の顧客だった中国企業は、競争相手に変わりつつある。ドイツの高級乗用車は、世界市場が電気自動車(EV)へとシフトする中で、厳しい状況に陥っている。
「欧州経済の原動力」ドイツ、今では足かせに
輸出主導型の独経済、コロナ禍後の供給障害とエネルギー価格高騰の中で苦境に陥いる
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