「決断と行動の人」――中国国営の新華社通信は1万2000語を費やした大仰な横顔紹介記事の中で、ある人物のことをこう力強くほめ称えた。このプロフィルは「深い洞察と感情を持つ人」「遺産を受け継ぎながらも改革をためらわず、先見の明(めい)があり、たゆまぬ努力を重視する人」と続く。この途方もない人物が、中国最高権力者の習近平氏であると知って驚く読者は、ほぼ皆無だろう。習氏は現在、共産党と国家の権力基盤を固めつつある。新華社はこのプロフィルの中で、習氏が公務に追われながらも、庶民にまで気を配る時間を確保している、と驚嘆してみせている。習氏は「梁家河村のある村人の治療費負担軽減のため自費を投じた」という。この指導者の手本のような習氏は、「庶民の暮らしを直接目にするため、豚小屋とトイレの視察」さえしたという。