イスラエルはこれを使って、パレスチナから撃ち込まれる数千発のロケット弾や迫撃砲を迎撃してきた。その対空防衛システム「アイアンドーム」が目下、中国からの攻撃リスクを警戒する米軍によってグアムで試験運用されている。アイアンドームが迎撃できるのは特定のミサイルに限られている。米国はこれとは別に、宇宙空間から下降して標的を攻撃する中国の弾道ミサイルの脅威に備えるため、さらに防衛能力を強化する計画だ。アイアンドームの試験運用は、最大の脅威として警戒する中国の軍拡に対処するため、米国が多岐にわたる軍装備をアジア太平洋地域に振り向けている現状を浮き彫りにする。「空軍基地などを構えるグアムを防衛できなければ、太平洋で米国の軍事力を誇示することは難しい」。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のミサイル防衛プロジェクト責任者、トム・カラコ氏はこう指摘する。