磯崎氏は、“玉突き人事”で続投の観測
ミャンマー問題への対応に追われる
磯崎氏は22年も続投することになりそうだ。21年9月にキリンビールの社長を務めていた布施孝之氏が急逝したことを受けて発生した“玉突き人事”がその根拠として挙がる。
22年1月、キリンビバレッジ社長の堀口英樹氏がキリンビール社長に、キリンHD常務執行役員の吉村透留氏がビバレッジ社長にそれぞれ就任。磯崎氏自らが旗を振る健康事業の中軸を担う協和発酵バイオでも社長が交代する。「これだけ主要事業会社のトップが代わって、グループのトップが代わるとは考えにくい」(業界関係者)との見方が多数。
21年2月に国軍によるクーデターが発生したミャンマーでのビール事業の“泥沼化”も、退くタイミングを難しくしている。磯崎氏がトップに就いた15年に買収したミャンマー・ブルワリーは、グループの稼ぎ頭に育ちつつあった。しかし、合弁相手が国軍系企業だったことから、現地で不買運動が発生したほか、21年12月期中間決算では214億円の減損も迫られた。
21年12月には現地での合弁の解消を求め、シンガポール国際仲裁センターに仲裁を提起。ミャンマー事業は磯崎氏肝いりでもあり、しばらくは対応に追われることになりそうだ。
新浪氏が他社の社外取に就任
グループ再編など動きも活発化
もう一つの注目人事は、サントリーHDの新浪剛史社長から、創業者のひ孫でHD副社長の鳥井信宏氏への大政奉還がいつあるかだ。
14年10月に創業家以外で初めて社長に就任した新浪氏は現在8年目。もとより、新浪氏に課されたミッションは14年に1兆6000億円で買収した米スピリッツ大手、ビーム(現ビームサントリー)の統合作業だった。新浪氏は「ファーストステージは終わったが、(統合作業が)完了とはいえない」と述べ、続投をにじませる。
しかし、幾つかの“異変”もある。一つがグループ外企業の社外取締役への就任だ。新浪氏は21年12月、クラウドソーシング大手クラウドワークスの社外取締役に就任。会長などが外部の企業の社外取締役を務めるケースは多いものの、現役トップが就くケースは、サントリーのような大企業では珍しいといえる。
22年7月には、国内酒類の中間持ち株会社のサントリーBWSなど計5社を統合し、「サントリー株式会社」も発足する。意思決定を早めることが統合の狙いとされているものの、BWSのトップは信宏氏。これも「ポスト新浪」への下準備とみる向きもある。信宏氏への権限移行が一挙に進めば早期の大政奉還もあり得るだろう。
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