金融引き締め、地政学リスクが
新興国株、欧州株の投資妙味を減じる

 22年がスタート、基軸通貨米ドルの政策金利を決める中央銀行の政策決定会合では高止まりするインフレ率への警戒が高まり、本格的な金融引き締めが真剣に議論されるようになってきた。マーケットは、この知ってはいるが経験したことのない環境を、不安に感じているようだ。

 とりわけ株式市場にその傾向が色濃く出ている。米国株のバリュエーション(割高、割安を判断する株価指標)は、パンデミック対応で金融緩和が進んだことで過去の水準を超えて上昇していた。利益成長で割高感が薄らぐまで金融引き締めを待てなくなったことで、株価が下落して割高感を修正する動きが始まったようである。

 ではFRB(米連邦準備制度理事会)は景気回復を止めてでも、インフレ抑制を図るのだろうか。クレディ・スイスでは、その可能性は低いと考えている。米国経済は、オミクロン株感染拡大がピークアウトしていく第2四半期以降に、過去のトレンドを上回る成長を遂げると予想している。

 物価が上昇し、金利が上昇するのは、行き過ぎない限り経済が健全だからと考えている。これは割安なバリュエーションの景気敏感株に有利な投資環境である。

 米国株では、割安な景気敏感株へのローテーション(投資対象の移動)が続くだろう。ではグローバルに分散投資する投資家は、どのようにアロケーション(資産配分)をシフトさせるのだろうか。

 新興国とりわけアジアの国々は、自国通貨を米ドルにペッグ(連動)させている国が多い。このため自国の経済状況にかかわらず、米国が利上げを始めると通貨防衛のため同調して利上げせざるを得ない。また、米ドル建ての国際資本へ依存している割合が高く、米国が金融引き締めに動くと金利負担上昇に加え、ドル資金供給が絞られることからも影響を受けやすくなる。

 バリュエーションは相対的に低い水準にあるが、これらの要因もあり新興国株式への追加投資は当面控えられるだろう。

 欧州株はバリュエーションの調整が進んで割高感は解消されており、ドイツ経済などは世界の景気循環に連動する性質が強いと考えている。しかし当面は、ウクライナでの地政学リスクからマイナスの影響を受けやすい。

 そこで注目が集まるのが日本株だろう。失われた20年で長らく投資家の関心が離れたこともあり、グローバル投資家にとって日本株投資は初めての経験に近い不安感を覚える人が少なくないだろう。またアベノミクスのようなグローバル投資家の関心を集める政策発表も、期待薄である。

 投資のきっかけとなるカタリスト(触媒)不足が、日本株上昇にとって一番のネックである。しかし、長期投資の基本であるファンダメンタルズ(国や企業などの経済状態などを表す指標)の条件は、グローバル株式のなかでも日本株投資の魅力が高まっていることを示唆している。

次のページ

日本株が投資家の注目を集める3つの理由

TOP