株入門者が心得ておくべき、東京株式市場の基本構図がある。メインプレーヤーは海外投資家であり、彼らが相場を先導している点だ。だが、コロナ禍の中で日本株を買い支えていたのは、実は海外投資家ではなかった。では誰なのか。特集『株投資 入門&実践』(全18回)の#10では、データでそれを明らかにしよう。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)
海外投資家の買いだけでは説明がつかない
コロナ禍の日本株“復活”
海外投資家は、東京株式市場の現物株売買シェアの67%を握る。まさにメインプレーヤーだ。
東京株式市場の動向の鍵は、海外投資家が日本株をどのように考えているかであり、海外投資家が買えば日本株は上がり、彼らが売れば下がるとイメージされている。本当にそうだろうか。
下図は、海外投資家の売買を2019年初から積み上げた金額と日経平均株価の推移である。海外投資家は現物に匹敵するくらい、あるいはそれ以上に株式先物を売買することから、先物の手口(ここでの手口は日経225先物、TOPIX先物、日経225mini、ミニTOPIX先物の合計)も加えてある
19年に売りと買いが一進一退だった海外投資家は、20年3月のコロナショックで大きく売り越した。20年末に少し買い戻したものの、21年3月以降、再び少しずつ売っていたのが実際のところだ。コロナショック以降の株価の回復は、海外投資家の買いによるものだけではないようである。
メインプレーヤーである海外投資家が局面局面で日本株の動きを先導し、方向感を決めているのは間違いない。ただし、日経平均株価を3万円台にまで押し上げるまでの持続的なパワーはなかった。それでは誰が日本株を買ったのか。