原油相場「WTI一時119ドル台」止まらない乱高下、中東紛争“長期化”が招く次の波乱Photo:PIXTA

米国・イスラエルによるイラン攻撃を受け、原油相場は急騰し、WTIは一時119ドル台まで上昇した。石油備蓄放出や停戦観測で急落する場面もあったが、ホルムズ海峡封鎖や産油国の供給障害への警戒は根強い。相場はニュース次第で乱高下を繰り返しており、先行きは戦闘終結の有無が大きく左右する。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

イラン攻撃で供給不安が
一気に拡大119ドル台

 原油相場(WTI、ウエスト・テキサス・インターミディエート)は米国・イスラエルによるイラン攻撃を受けて急騰し、足元は高値圏で不安定な推移となっている。

 米国とイランとの高官協議が行われていた2月中旬頃からの原油相場の動向を振り返ると、2月12日は、国際エネルギー機関(IEA)の月報で世界の石油需要見通しが下方修正されたことや、トランプ米大統領がイスラエルのネタニヤフ首相との会談でイランとの交渉を継続すると伝えたことが弱気材料になった。

 しかし、18日には、米国・イスラエルによるイラン攻撃の可能性が高まっているとされたことや、ウクライナとロシアの和平交渉が進展なく終わったことで、地政学リスク懸念が高まり、原油の上昇幅は大きくなった。WTIは4.6%高だった。

 27日は、米国とイランとの軍事衝突に対する警戒感が根強く、反発した。26日の米・イランの協議について、仲介国オマーンのバドル外相は「大きな進展が見られた」と表明した。しかし、米国はイラン中部ナタンズなどの核施設3カ所の解体などを要求した一方、イランは国内でのウラン濃縮継続を主張し、両者の隔たりは依然大きかった。

 28日に米国とイスラエルがイランに対する大規模攻撃を開始し、3月2日のWTIは6.3%高となった。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害され、イランはイスラエルや湾岸諸国の米軍施設などを標的に無人機やミサイルで反撃した。

 レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも対イスラエル攻撃に踏み切った。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、イランの無人機攻撃で、サウジアラビアの石油施設の操業や、カタールの液化天然ガス(LNG)と関連製品の生産が停止されたと伝わり、エネルギーの供給不安が高まった。

 次ページでは、イランへの大規模攻撃開始以降の原油相場の乱高下を振り返りつつ、先行きを予測する。