世界景気は?Photo:PIXTA

日本企業の収益動向を左右するのは実は、世界景気である。ただこれまでは日本経済と結び付けられやすく、その停滞が日本株を割安にしてきた。しかし、2022年以降、世界経済の回復に伴って、日本企業の業績は上方修正され、日本株の割安さは修正されていくだろう。(クレディ・スイス証券株式会社 プライベート・バンキング チーフ・インベストメント・オフィサー・ジャパン〈日本最高投資責任者〉 松本聡一郎)

世界の景気サイクルに
リンクする日本企業の利益

 日本株への投資を考える人の多くは、まず日本経済の状況をチェックするだろう。当たり前のように行うこの作業には、どれほどの価値があるのだろうか。

 2000年以降、経済活動のグローバル化が進んだ。とりわけ日本はデフレや人口減少により国内市場が縮小したため、日本企業は海外市場への依存を高めてきた。結果として日本の企業の利益は、海外との連動性を高め、日本経済の成長率を上回る高い成長を遂げてきた。

 なかでも国際的な競争力があり、稼ぎ頭と言われる企業は、設備投資関連の機械設備などの資本財のメーカーや自動車を含む大型耐久財メーカーおよび関連企業といった景気サイクルに敏感な業界に多く見られる。このため日本企業の利益変化率は、世界経済の浮き沈みから大きな影響を受けてきた。