中東有事、投資家としては、どういうシナリオを優先してスタンスを取るべきなのかPhoto:PIXTA

日本では、中東有事に際して、最悪シナリオのような悲観論が横行し、円安など諸現象に「悪い」という枕ことばを付け、「日本売り」などと裏付けのないレッテルまで自国に貼る。それでいて株価が上がるだけで、臆面なく達観、楽観を語る。投資家が踏まえるべき相場力学のロジックを欠く論調を真に受けると、適切な相場対応もできない。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)

悲観と楽観の間で投資家が
見るべき時間軸

 中東有事のリスクオフ相場の中で、投資家には「Pessimists sound smart. Optimists make money.」(悲観論者は賢く聞こえる。楽観論者はカネをもうける)という言葉を何度か送った。

 悲観論者をやゆする意図はない。悲観的な論説は、今起こっている事態をデータに基づいて、さらに悪い事態に直面し得るリスクを強調する。悲観論があってこそ、最悪の事態に備えることができる。

 しかし、起業家や投資家に必要とされるのは、慎重ながらも楽観だろう。データがまだそろわない間は、説得的な悲観論が横行し、先行き不安が募り、相場は過剰に下落しがちだ。つまり、情勢が改善するとき、相場には大幅の余地があり、もうけのチャンスがある。

 米国・イスラエルとイランの戦争に際して、中東産の原油・天然ガス・ナフサなどの供給が滞ることで、世界経済の悪化とインフレの両リスクが起こり、スタグフレーションに陥るとの最悪論調が横行した。

 一方で、トランプ米大統領が、米国内の株や債券の市況悪化、ガソリンなど石油関連製品の価格上昇によるインフレによって、支持率低下を回避したいことは言葉の端々にうかがわれ、早期停戦への志向をにじませている。

 では、投資家としては、どういうシナリオを優先してスタンスを取るべきなのか。次ページで検証していく。