コロナオペも社債買入れも終了へ
マネタリーベースは縮小に転換
日本銀行は、金融緩和の縮小へと明確に舵を切っている。2021年12月の金融政策決定会合では、新型コロナ対応金融支援特別オペ(以下コロナオペ)の大部分を占める民間債務担保分を2022年3月に終了させるとともに、社債の保有残高もコロナ前の水準に戻す方針が発表された。
日銀のマネタリーベースは、2021年12月時点で670兆円だが、そのうち60兆円を占めるコロナオペの民間債務担保分は、2022年3月に期限切れとなり、徐々に減少していく。
そのため、2006年から15年以上にわたって増え続けてきた日銀のマネタリーベースは、4月からは縮小へと向かい、歴史的な転換を迎える公算が大きい。
日銀の社債保有残高の減少
市場に与えるインパクトは大きい
3月までに9兆円程度に達する社債の保有残高も、4月以降には満期を迎えた銘柄の償還により3兆円程度まで減少する見込みで、これもマネタリーベースの縮小要因になる。
日銀が保有する社債が6兆円も減少することは、全体で74兆円しかない日本の社債市場の需給を大きく悪化させる。東証一部に上場している株式の時価総額728兆円のうち、日銀が保有するETF残高は53兆円だ。市場全体に占める日銀保有分の割合で考えると、日銀は株式市場以上に社債市場に介入してきたと言える。
そうした中で、ETFのような買入れの減額ではなく、保有残高の減額が行われると、社債市場へのインパクトは非常に大きくなる。