今回の衆議院総選挙の結果を受けて、不安定になっている人たちがいる。

 筆者は、周囲の当事者の様子を見ていて、「炭鉱のカナリアに似ている」と、誰かが引きこもる人たちについて表現していたことをふと思い出した。そんな本人たちが「将来が怖い」などと不安がっているのだ。

「生活保護1割削減」に脅える女性

 自分の特性などから仕事に就けず、生活保護を受給しているという首都圏在住の女性は、「生活保護が1割削減されるという噂がある。また、現金ではなく、フード券などの現物支給になるとの話も出ています。そうなると“フード券使えます”というステッカーが貼ってある店を見つけなければならず、店の人にも(受給者であることを)知られることになる」と、脅える。

 また、いまアルバイトしている、都内在住の元引きこもり当事者の男性は、「最低賃金をなくすという流れになるんじゃないかとも感じられて、恐ろしい」と話す。

 さらに医薬品についても、生活保護受給者には原則的に、価格の安い「ジェネリック(後発医薬品)を使用すべきだ」という提言が、今年11月、政府の行政刷新会議の「事業仕分け」でも示されたばかり。すでに、以前から、厚労省は各自治体に、生活保護受給者への投薬にジェネリックを使用するよう指導していて、この義務付けは自民党政権によって加速するものと思われる。

憲法9条改正問題のドサクサに紛れて
生存権が脅かされるのではないか

「ここ最近、怖いんです。役所の人が怒るんですよ。うつになりそうです」(当事者自助グループの関係者)

 1年ほど前、「発達障害的な特性から会社を辞めざるを得なかった」という関西に住む30歳代の男性は、いまも失業集で、このところ落ち込んでいるという。