トップは4社兼務で9000万円の報酬!
みずほシステム障害で社外取の責任問う声も
まずは下の実名ランキングで、報酬額上位の顔触れを確認してみよう。1位はソフトバンクグループ(SBG)や武田薬品工業など4社で社外取を兼務し、推計報酬額の合計(以下、推計報酬額)が8928万円に上った飯島彰己氏(71)だった。
*「推計報酬額」は、有価証券報告書(2020年度ベース)の役員区分ごとの報酬等の総額において、「社外取」として開示があれば、その金額を対象者の人数で割って算出。「社外取」の開示がなく、「社外役員」として開示があれば、その金額を対象者の人数で割って算出。「社外取」と「社外役員」のどちらの開示もない場合は、原則として「取締役」の報酬等の総額を人数で割って算出。報酬等の総額が1億円以上の取締役がいる場合、報酬額が個別に開示されるので、その金額を差し引いて算出。兼務している企業の推計報酬額を全て合計。報酬額は原則として百万円単位で、百万円未満は四捨五入して算出。順位は、「推計報酬額の合計」の万円未満を加味。
5月19日時点の上場企業が対象。社外取の年齢は5月25日現在。社外取や推計報酬額は20年度ベースで、その後22年5月19日までに持ち株会社化、経営統合などで証券コードの変更があった企業は対象外。
「社名」は兼務がある場合、最も時価総額が大きい企業をピックアップし、その後ろに「など」を付けた。HDはホールディングス、FGはフィナンシャルグループ、フィナンシャル・グループの略。
飯島氏は三井物産前会長で、資源・エネルギー畑が長かった。SBGは同分野の投資に力を入れており、2018年6月に飯島氏を社外取に招いた経緯がある。飯島氏の推計報酬額の内訳を見ると、武田薬品が3991万円で最も高く、次いでSBGが2486万円。三越伊勢丹ホールディングスが1271万円で、リコーが1180万円だった。
なお、SBGの22年3月期の純損益は、1兆7080億円の巨額赤字に陥った。同社のソフトバンク・ビジョン・ファンドの運用成績が極度に悪化しており、PBR(株価純資産倍率)も0.83倍で「解散価値」の1倍を下回っている。このため、飯島氏は本特集#9の『赤字・解散価値割れ「高報酬」ワーストランキング』でも1位となった。
2位は“プロ経営者”として一世を風靡した藤森義明氏(70)。武田薬品、資生堂、日本オラクル3社の社外取を兼務し、得ていた推計報酬額は7658万円。なお、藤森氏は今年3月に資生堂の社外取を退任したが、同社が昨年日用品事業の売却を決めた際に、藤森氏の利益相反を指摘する声も上がった(詳しい経緯については本特集#1『社外取締役・実名ランキング【上位4000人】報酬、兼務、業績で9400人の全序列を初試算』参照)。
3位のジョージ・オルコット氏(67)は投資銀行出身で、デンソー、第一生命ホールディングス(HD)、東芝、キリンホールディングスの4社から推計7133万円を得ていた計算となった。東芝の社外取を巡っては、昨年6月の株主総会で賛成率67.96%と低い水準ながら選任されたものの(本特集#7の『株主総会「不信任」社外取ワーストランキング』で27位)、同月中に辞任した。なお推計報酬額は20年度末の有報を基に算出しており、東芝を退任したオルコット氏のように、任期途中の退任で報酬を満額受け取ってない場合も推計上、報酬額に含めている。また、第一生命HDの社外取については、今年6月下旬に退任予定である。
4位の秋山咲恵氏(59)は女性起業家で、ソニーグループなど4社の社外取を兼務し6642万円。5位のクリスティーナ・アメージャン氏(63)は一橋大学の教授で、アサヒグループホールディングス(HD)など4社兼務で6254万円だった。
6位の新貝康司氏(66)はJT元副社長。英たばこ大手ガラハーの買収(買収額2兆2500億円)など、同社で巨額のM&A(合併・買収)を数多く手掛け、「ミスターM&A」と呼ばれた経済人である。三菱UFJフィナンシャル・グループ、第一生命HD、アサヒグループHDなど4社兼務で6151万円。7位の国谷史朗氏(65)は、国際法務に詳しい弁護士。武田薬品(今年6月下旬に社外取を退任予定)など3社兼務で5891万円だった。
8位の小林いずみ氏(63)は、メリルリンチ日本証券(現BofA証券)の社長を務めた人物である。三井物産、みずほフィナンシャルグループ(FG)、オムロン、ANAホールディングス4社の社外取を兼務し、推計報酬額は5777万円。
システム障害が頻発して前社長の坂井辰史氏が引責辞任したみずほFGにおいて、取締役会議長を務めている小林氏は、その監督責任を免れないだろう。同氏がみずほFGで社外取に就任したのは17年6月。システム障害の一因になった新システム稼働後の人員削減(全面稼働の19年7月ごろにはピーク時の3分の1程度の約2000人まで削減)について、小林氏を含む当時の社外取は重要な経営課題と認識できず、能動的に動けなかった。システム障害の収拾においても有効な手は打てなかった。
坂井氏の引責辞任を受け、指名委員会のメンバーとして新トップ選定に当たった小林氏だが(詳細は本特集#4『「また興銀か、まずいな」みずほFGの“大揉め”新トップ選定で社外取が漏らした本音』参照)、「思い付きで論点を列挙することが多く、議論の収束点や目的を考えずにいろいろと引っかき回し、現場を疲弊させることがある」(みずほ元幹部)といった厳しい評もある。
9位の夏野剛氏(57)はNTTドコモの「iモード」の「生みの親」であり、KADOKAWAの社長を務める。日本オラクルなど4社の社外取を兼務し、推計報酬額は5700万円だった。10位の吉原寛章氏(65)は、世界的会計事務所であるKMPGインターナショナルの元副会長。推計報酬額は5440万円。以上がトップ10の概要だ。
なお、105~4022位までの順位については、次ページで確認することができる。調べたい社名や氏名のほかに、「銀行」のようなキーワードを入力することで検索が可能だ。ぜひ試してみてほしい。





