セブンDX敗戦#15Photo:Bloomberg/gettyimages

セブン&アイ・ホールディングスは2021年6月、「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄」に選定された。これはデジタル活用でビジネスモデルの変革に挑戦する「優等生」に与えられる栄誉だ。とはいえ当時、セブン&アイのDX戦略は既に風前のともしびだった。なぜDX銘柄に選ばれたのか。特集『セブンDX敗戦』の#15では、選定メンバーに名を連ねる、ある大物経営学者の存在に焦点を当てる。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)

>>あなたの会社の「DX問題」取材します。情報提供はこちらまで
diamondweekly@diamond.co.jp

DXの「優等生」に選出
選定メンバーにあの「後見人」

 約3700社から選抜された“優等生”28社の仲間入り――。

 セブン&アイ・ホールディングスは2021年6月、「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2021」に選出された。DX銘柄とは毎年、東京証券取引所と経済産業省が共同で、上場企業約3700社の中からDXを積極的に推進する企業を選ぶものだ。

 DX銘柄に選定された企業について、経産省は「デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのものの変革および経営の変革に果敢にチャレンジし続け、デジタル技術を最大限に活用した活躍が期待されている」と称賛している。

 DXブームを追い風に、DX銘柄への投資家の関心も高い。セブン&アイはこの年が初選出となり、28社の優等生として栄誉にあずかった。

  この銘柄は有識者らで構成する「DX銘柄評価委員会」の評価を基に、業種ごとに1~2社が選定される。

「デジタル技術の活用・情報システム」や「成果と重要な成果指標の共有」「ガバナンス」などの項目や財務指標によって絞り込まれ、評価委員会が最終選考する。21年に選ばれた企業の多くは大企業だ(下図参照)。

 しかし、21年6月といえば、セブン&アイのDX戦略が崩壊の淵に立たされていたタイミングである。

 同月には、戦略を主導してきたDX部門が解体され、翌月にはそれまで進めてきたDX戦略を総括する中間報告がまとめられた。

 事実上、“敗戦への道”が敷かれていたタイミングでのDX銘柄への選定。実は、選定メンバーにはセブン&アイの「後見人」ともいえる大物経営学者が名を連ねている。