東レの社外取締役は、日覺昭廣社長の「お友達」で固められている。そのお友達が経営するファンドに、東レが海外子会社を通じて「迂回出資」している疑惑が明らかになった。特集『東レの背信』(全6回)の#2では、度重なる品質不正で、経営陣が「免責」されるカラクリを含めて解明する。(フリーライター 村上 力)
THCの再発防止策が骨抜きに
調査委の責任追及が「大甘」な理由とは
東レで発覚した樹脂製品の品質不正では、2017年に明らかになった子会社の東レハイブリッドコード(THC)の品質不正を教訓に実施した再発防止策が、ことごとく骨抜きにされていた事実が明らかになった。
なぜ無効な再発防止策が策定されたのか。本来なら責任が追及されるべきだが、4月12日に公表された有識者調査委員会による報告書には、そのことへの言及は少ない。
だが、それは当然かもしれない。
なぜならTHC不正の再発防止策に太鼓判を押し、褒めそやしてきた弁護士たちが、有識者調査委を担っているからだ。
そこに、日覺昭廣社長が率いる東レの“本質”が隠されている。これからそれを明らかにしていこう。