事務機器大手のリコーで4月、「リコー式ジョブ型人事制度」なるものが導入された。特集『ステルスリストラ 気付けばあなたも』(全10回)の#1では、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料を基に、管理職最下層が非管理職へ落ちていく衝撃のスキームを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
中途半端なジョブ型人事制度
専らの関心は管理職最下層の処遇
事務機器大手のリコーは4月、「リコー式ジョブ型人事制度」なるものを導入した。ダイヤモンド編集部はその詳細を記した社員向けの内部資料を入手した。
この人事制度は、わざわざ「リコー式」と冠を付けるだけのことはあって、ジョブ型としては中途半端なものだ。例えばジョブ型の一丁目一番地であるジョブディスクリプション(職務記述書、JD)ですら「段階的に整備していく想定」とあり、有識者が読めば椅子からずり落ちるような記述が満載だ(詳細は本特集#9『リコー「追い出し部屋炎上」で進化した狡猾リストラ、内部資料ににじむジョブ型人事の問題点』で解説する)。
そんな中で社員が専ら関心を寄せているのは、管理職最下層グレードを意味する「アソシエイト・エキスパート(AE)」の処遇である。
新人事制度において、AEとなった者の多くが3年後、非管理職へと落ちていく衝撃のスキームとなっているのだ。
当該社員の一人は「はやりのジョブ型にかこつけた、ただの中高年追い出しではないか」と怒りをあらわにする。
次ページでは、そのスキームの全貌を明らかにする。管理職最下層に対する運用ルールは残酷なものになっている。