20兆円「GX経済移行債」は脱炭素化の“財源革命”を起こすかPhoto:Pool/gettyimages

岸田首相が「新たな国債」発行を表明
今後10年で20兆円を調達

 参議院選挙での勝利を背景に、岸田文雄首相は「新しい資本主義」の中核的課題と位置づける気候変動問題の取り組みを本格的に進めるとみられるが、注目されるのが「GX経済移行債」という新たな国債の発行だ。

 選挙に先立って開かれた「グリーンエネルギー戦略に関する有識者会議」で首相は、今後10年間で脱炭素化に向けて必要となる総額約150兆円の投資資金のうち約20兆円の政府資金を調達するため、「約20兆円規模のGX経済移行債の発行を検討する」と表明した。

 脱炭素化では「グリーンイノベーション基金」が創設されているが、規模は2兆円にすぎず、日本が脱炭素化推進のために、複数年にわたって巨額の公的資金投下を表明するのは初めてだ。

 新国債は脱炭素化事業に調達資金の使途を限定した画期的なものだが、さらに注目されるのは償還財源についても、炭素に価格をつけるカーボンプライシング導入と一体的に検討されていることだ。