新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はテルモ、シスメックスの「医療機器」業界2社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
テルモ、シスメックスが
過去最高の実績
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の医療機器業界2社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(2社とも23年1〜3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・テルモ
増収率:12.5%(四半期の売上収益2022億円)
・シスメックス
増収率:6.6%(四半期の売上高1118億円)
*オリンパスは23年3月期第2四半期より科学事業を非継続事業に分類しており、同じ基準で売上高を比較できないため、今回は非掲載とする。
前年同期比で増収となった医療機器業界の2社だが、通期の業績を見ても、2社ともに売上高と営業利益で過去最高を更新した。しかし、両社ともに営業利益の増減要因を見てみると、絶好調とも言い難い側面が垣間見える。
一体どういうことか。次ページで詳しく解説する。