東芝Photo:PIXTA

新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日立製作所や東芝などの「産業用装置・システム/業務用機器」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)

5社中4社が増収
日立製作所だけが減収

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の産業用装置・システム/業務用機器業界5社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(5社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・ダイキン工業
 増収率:23.4%(四半期の売上高9959億円)
・日立製作所
 増収率:マイナス5.0%(四半期の売上収益2兆7724億円)
・東芝
 増収率:1.0%(四半期の売上高9915億円)
・三菱電機
 増収率:11.0%(四半期の売上高1兆4385億円)
・三菱重工業
 増収率:4.1%(四半期の売上収益1兆2648億円)

 産業用装置・システム/業務用機器の主要5社の中で日立製作所だけが減収だった。ただ、日立製作所の利益面を見ると、通期の純利益で最高益を記録している。そのほかの企業でも過去最高の売上高を記録する企業もあるなど、好調だ。

 しかし、一社だけが通期決算で大幅な減益となっていて、さまざまな背景もあり、世間からも注目度が上がっている。

 次ページ以降では、各社の増収率の推移を紹介するとともに詳しく解説する。