新型コロナウイルス禍が落ち着き始め、企業業績への影響も緩和されてきた。だが、円安、資源・原材料の高騰、半導体不足といった難題がいまだに日本企業を苦しめている。その状況下でも、企業によって業績の明暗が分かれているが、格差の要因は何なのか。上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は日本製鉄、住友金属鉱山などの「製鉄/金属製品」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)
鋼材需要は低迷気味
それでも各社増収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の製鉄/金属製品業界の4社。対象期間は2022年11月~23年3月期の四半期(4社の対象期間はいずれも23年1~3月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・日本製鉄
増収率:7.9%(四半期の売上収益2兆139億円)
・住友金属鉱山
増収率:3.2%(四半期の売上高3473億円)
・ミネベアミツミ
増収率:17.3%(四半期の売上高3397億円)
・JFEホールディングス
増収率:7.3%(四半期の売上収益1兆3602億円)
4社はいずれも前年同期比で増収となっていて、中でも日本製鉄とミネベアミツミは、23年3月期通期で過去最高の売上高となった。さらに、利益面でも過去最高益を更新している。
一方、住友金属鉱山とJFEホールディングスの利益面は厳しく、通期で3〜4割ほどの大幅な減益となっていて、明暗が分かれた。
次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、利益面はどうなっているのか見ていく。