変化を続けられるのは
安定した“老舗”だから
「個人の成長がJSOLの成長に直結する」という永井社長の言葉通り、同社の成長をもたらすのは人財が生み出す技術とサービスだ。そして“高度なテクノロジーで価値を生み出すITコーディネーター”という顔のベースには、“NTT DATAとSMBCグループのDNAを持つ安定企業”という顔がある。
JSOLの設立は06年。一見“若い”企業に思えるのだが、実はITサービス業界では伝統ある“老舗”でもある。
同社の源流となる「日本情報サービス」が誕生したのは、旧住友銀行の事務管理部門が分離独立した1969年。89年にシンクタンク部門も併せ持つ「日本総合研究所」へと社名を変更し、旧住友銀行と旧さくら銀行の合併、持株会社への移行などを経て06年、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)のクライアント向けIT事業の分割を受けて「日本総研ソリューションズ」として設立されたのである。09年にNTTデータの資本参加を受けたのを機にJSOLへと社名を変更した。
都市銀行のシステム開発部門から生まれたという来歴や、ITサービス最大手との間の資本関係を知ると、JSOLは金融業界を対象としたビジネスやグループ企業との関係の中で進めるビジネスの比率が高いように思われがちだ。
実際、金融向けソリューションは同社の大きな柱の一本なのだが、売り上げ全体に占めるシェアは10%強。グループ企業との協業も重要な位置を占めているものの、JSOLがクライアントから直接受注する比率(プライム案件比率)は94%と高い。これは、金融以外の業種に向けた事業が長年にわたって大きく広がり、伸びてきたこと、独自のソリューションを自社で幅広く提供してきたことなどによるものだ(下図参照)。ソリューションを提供する業種は金融以外にも、製造、製薬、流通、官公庁、社会インフラなど多様で、取引先は1260社に及ぶ。