岸田文雄首相のワシントン訪問と時を同じくして、おなじみの脅威が再燃している。北朝鮮だ。ロシアは3月28日の国連安全保障理事会で、対北朝鮮制裁決議の履行を監視する専門家パネルの任期を延長する決議案に対し、拒否権を行使した。この任期延長はこれまで毎年、安保理で更新されてきたものだった。ロシアの拒否権行使は、同パネルが最近行った調査報告への不満と、ロシアと米国の関係に生じている全般的なほころびの両方を反映している。
専門家パネルの解散は残念なことだが、ロシアの拒否権行使はそれよりはるかに重要なことを示した。拒否権の行使は、強化されつつある中国とロシアの枢軸が、その利益と、従者である北朝鮮とイランの利益を守るという断固とした決意表明だということだ。中国とロシアは北朝鮮が核兵器を手に入れるのを阻止したいという米国の願いをこれまで完全に共有したことはなかった。中国・ロシアを段階的な制裁強化に同意させるには、終わりのない議論、「完全で率直な意見交換」、そして幾度も怒鳴り合いに近いやりとりが必要だった。そうした便宜上の妥協さえも今は消えてしまった。