平均年収2000万円超、営業利益率50%、時価総額5位――。最強企業キーエンスで商品開発に長年携わったOBが「高値でも売れる商品」を生み出す秘策を伝授する。「先進機能のてんこ盛り」ではなく「引き算」が重要である理由とは?ダイヤモンド・オンラインが配信している「学びの動画」の特集『キーエンス流 営業・企画・戦略の強化書』(全20回)の内容を基に、特別にお伝えする(元の動画はこちらから)。
売れる商品を生むカギは
「てんこ盛り」ではなく「引き算」!?
「高値でも売れる商品」を生み出す上で、重要な点は何だろうか。
業種・業界によっても異なるが、例えば製造業の世界では「最先端の機能をたくさん搭載し、充実した仕様にすること」が重要だと考える人がいるかもしれない。だが、キーエンスで長く商品企画・開発を担当した大崎道雄氏は、意外にも「引き算」が大切だと語る(※「崎」の正式な表記は「たつさき」、以下同)。
「幅広い顧客層に買ってもらおうと、機能をてんこ盛りにするのは避けた方が良いでしょう。顧客にとっては不必要な機能が含まれているかもしれません。仕組みも複雑化して分かりにくくなります」(大崎氏)
大崎氏は1997年にキーエンスに入社し、商品の企画・開発を20年近く担当した「売れる商品の作り方」を熟知する人物だ。キーエンス退職後はこれまでのノウハウを生かし、商品開発のコンサルティング企業「Minchu」を設立。代表取締役CEOを務めている。
大崎氏の古巣であるキーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)関連機器の大手メーカーであり、測定器や画像処理機器、センサーといったFA用製品を手掛けている。
キーエンスの強みは、コストやマージンを抑えつつ、合理性を徹底的に追求した営業体制を敷いていることだ。こうした仕組みによって、日本企業の中で圧倒的に高い「約50%」という売上高営業利益率を継続的にたたき出している。
平均年収は2279万円(2023年3月期実績)と高年収企業ランキング上位の常連で、国内における時価総額ランキングでも5位(24年4月時点)につけている。
高収益企業で商品開発に携わってきた大崎氏が語る、「引き算」の極意とは――。