「他社と比べようのない商品」が
高収益につながる!
大崎氏によると、「売れる商品」を開発する上で重要なのは「マーケットイン」(顧客が求めるモノを作る)の発想だ。徹底的な顧客分析や市場調査を通じて、顧客の本質的なニーズを把握するという「キホンのキ」がまずは大切になる。
その上で、競合商品との差別化に向けた「引き算」が求められる。ただし、単に機能を絞ったり、スペックを落としたりするだけではライバルに劣後してしまう。ここで効果を発揮するのが、大崎氏が「ずらし」と呼ぶテクニックだ。
「ずらし」とは、この引き算をする代わりに、競合商品とは異なる(=ずらした)ポイントを強化する手法である。大崎氏の古巣・キーエンスも「ずらし」を駆使し、従来の市場にはあまりなかった「尖った商品」を展開することで、高い収益性を維持してきたという。
「商品の性能を評価する際、五角形のレーダーチャートなどを使いますよね。キーエンスの商品は、このチャートのうち1項目だけが飛び抜けています。ですが、あとの項目は平均並み。もしくは、5項目のうち2項目にはそもそも対応していません。
似たり寄ったりの商品同士だと、顧客は価格の安い方に流れがちになりますが、『引き算』と『ずらし』によって尖らせた商品は他社と比べようがありません。キーエンスの商品が、高値でも買ってもらえるのはそのためです」(大崎氏)
そうした「尖った商品」とは、具体的にどんなものなのか。その代表例として、大崎氏は自身がキーエンス時代に企画した「3次元測定器」を挙げる。