ルネサスの再建とトヨタの新戦略
ルネサスに産業革新機構の投資が決定した。このことを理解するためには、そもそも、なぜ半導体産業が製造業の要ともいえる産業であるのかを理解する必要がある。そのためには、米国で1987年に設置された半導体コンソーシアムであるセマテックの設置理由とその貢献を考える必要がある。
以上の背景が理解できると、何故、トヨタが新戦略をこの時点で打ち出してきたのかが明確になる。今回は、この順序で話を進めていくので、論理の展開を注意深く追っていただきたい。
企業戦略を再構成する時に、その企業が関与するサプライチェーン全体の構造を変えるような戦略を考えるということを議論する。「オペマネの思考法」の言葉に直すと、企業戦略の「分析単位」を単にその企業とするのではなく、サプライチェーンを「分析単位」とするということである。
車載マイコンは車の中枢神経系
ハイブリッド車のコストの47%はエレクトロニクス関連である。車載マイコンはその中でも頭脳、中枢神経系にあたるものであり、車一台あたり、1億行にせまる組み込みソフトのプログラムを必要とする。
車載マイコンの品質と耐久性については、極端に高いものが要求されている。車は温度と振動に関して過酷な環境で、平均10年以上使用され、事故につながるような不良半導体が使われているとなると、対応に大変なコストがかかってしまう。
ルネサスエレクトロニクスは、エレクトロニクス技術と半導体生産技術の結晶であるそのような車載マイコンの生産者で、車載マイコンの世界シェアは44%であり、その約半分は被災した那珂工場で生産されていた。



