車載マイコンの製造は儲からない

 ルネサスは車載マイコンの設計と製造の両方に非常に高い技術をもち、代替のきかない部品をトヨタやホンダをはじめとする日本の自動車製造業者にほぼ独占的に提供している。しかしながら、日本一の赤字企業なのである。

 車載マイコンは、外国でも、昔からある有名な半導体デバイスの設計と製造の両方に、高い技術力を持つ製造業者により生産されている。これらの企業は総じて、儲かっていないレベルか、非常に赤字の会社で、先行きが不透明というのが現状なのである。

車載マイコンはなぜ儲からないか?

 車載マイコンが儲からないのは、規模の経済の問題である。半導体製造の固定費は非常に高く、デバイスの開発費用も非常に高い。固定費に見合う売上高(数量×価格)がないといけない。したがって、数量確保が必須で、その後に価格がついてくる。

 車載マイコンは自動車の中枢部品であるのは間違いないので、自動車製造各社は世界中でそれなりのカスタム仕様の製品を、半導体会社とつくりあげてきたという歴史もある。自動車の平均寿命は10年以上、モデルの切り替えは5年ごととなると、古い世代のラインも長期間、使えるようにしておかなければならない。カスタム化の余地が多く、デバイスあたりの数量が出ない。

 国外の自動車メーカーが標準化の進んでいる車載マイコンを使っているとすると、その取引価格がカスタム化の度合いの高い製品の取引価格設定の目安になる。つまり、カスタム化のコストを自動車メーカーにそのまま転嫁することは難しい。自動車が売れなくなるからである。サプライチェーンで、手間とコストばかりかかって、儲からない部分を、ルネサスが担当していることになっている。

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