トヨタが震災で学んだだろうこと

 トヨタは震災の2日前の2011年3月9日にグローバルビジョンを公表している。当たり障りのないCSRの内容である。震災1年後の4月9日、2年後の3月27日に公表した、「もっといいクルマづくり」に向けて、「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」は、一変して、従来のトヨタ方式とは異なるものづくりを打ち出している。

 従来はトヨタ専用規格に準じた部品開発であったが、多数の自動車メーカーがグローバルに採用している標準部品も、採用できるようにするとしている。半導体部品のことが念頭にあるのに違いない。

 メカニカルな部品に関しては、従来の閉鎖的、擦り合せ型のモデル、多重層的なサプライヤー管理であるトヨタ方式が機能する。一方、半導体や電子部品については、全面的なカスタム化から標準化の方向に移行すること、トヨタがサプライチェーンを直接的、統合的に管理することの両方は、サプライチェーン寸断のリスク回避の面のみでも正当化できそうである。さらに、標準化がもたらすコスト削減の側面も大きく、供給者のルネサス自体の存亡が問題となっては、こうするしかないだろう。

ルネサスの存亡

 2012年の9月に米国投資ファンドのKKRが1000億円の出資をルネサスに提案したが、1500億円でも安い買い物である。日本の根幹技術の値札は、これではないだろう。投資ファンドが、一方で日本の自動車メーカーの株をショートセル(空売り)して、他方で車載マイコンの価格交渉に入るというようなことも考えないといけないだろう。

 ルネサスの操業が完全に停止すれば、サプライチェーンでつながっている日本の自動車製造業者の操業もほぼ完全に停止する。ハイテクの根幹技術なくして、技術立国はない。ということで、税金由来の産業革新機構の1383.5億円がルネサスに投資されることになったと理解できる。

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ルネサスの今後で問うべきこと

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