日経平均「4万円回復」説が主流
米景気後退が最大のリスク要因か
識者へのアンケートの結果、5人のうち4人が25年3月末までに日経平均は再び4万円を超えるとの見解を示した。株高のピークは24年末〜25年3月に来るとの見立てが主流だ。一方、安値のピークの時期は24年8月と10月に意見が集中。足元の相場が株価の底なのかもしれない。
また、今後のリスク要因として米景気後退を指摘する声が目立った。米経済がソフトランディングできるかに日本株の動向が左右される状況は当面続きそうだ。
ここからは、識者5人のアンケート結果の詳細をお届けする
広木 隆
マネックス証券チーフ・ストラテジスト

日経平均株価の25年3月末とそれまでの高値と安値の水準の予想
25年3月末 4万5000円
高値 4万5000円(25年3月)
安値 3万1000円(24年8月)
24年度企業業績
10%増益 (TOPIX)
プラス要因
企業業績
FRB利下げ
日銀の引き締めスタンスの緩和
マイナス要因
日銀の引き締め
円安のピークアウト
今回の暴落に伴うポジション調整
予想の理由
今回の急落の要因は突き詰めれば日銀が金融引き締めに転じたことである。しかも、金融政策正常化という錦の御旗のもとに市場のセンチメントや経済情勢を慮る素振りが感じられない、そのスタンスに市場が反旗を翻したものである。
史上最大の下げ幅の翌日は史上最大の上げとなった。しかし、その日の上昇率ワースト業種は銀行であった。これがまさに市場の答えだ。日銀のスタンスにNOを突き付けたのである。銀行は利上げの恩恵を受けるセクターの代表だ。それが全面高のなか上がらないということは、日銀がこれまでのように自分勝手に利上げができないことを示唆している。
果たして、内田真一副総裁は7日、金融経済懇談会で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べた。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」とも語った。市場が「日銀プット」を引き出したのである。今後は市場と日銀の対話が上手くいけば、マイルドな金融政策正常化のもと企業収益の伸びのトレンドに沿って上昇基調を辿るだろう。
井出真吾
ニッセイ基礎研究所金融研究部主席研究員チーフ株式ストラテジスト

日経平均株価の25年3月末とそれまでの高値と安値の水準の予想
25年3月末 4万2000円
高値 4万2000円(25年3月)
安値 3万3000円(24年10月)
24年度企業業績
3%増益 (TOPIXベース)
プラス要因
FRB大幅利下げ
大統領選決着による不透明感払拭
中間決算で業績見通し上方修正
マイナス要因
米景気後退が実現
インフレ再燃
円高進行
予想の理由
米景気減速はソフトランディングの範囲内に収まる確率が高い。大統領選が終われば不透明感が払拭され投資家心理が改善しやすくなる。同時期に日本企業の中間決算で通期見通しが上方修正され、年末にかけて4万円回復を試す展開を想定。
吉野貴晶
ニッセイアセットマネジメント投資工学開発センター長

日経平均株価の25年3月末とそれまでの高値と安値の水準の予想
25年3月末 4万円
高値 4万2000円(24年12月)
安値 3万4000円(24年8月)
24年度企業業績
5%増益 (日経平均株価)
プラス要因
大統領選イベントを超すこと
実質賃金プラス定着期待
東証の市場改革の進展
マイナス要因
自民党総裁選と総選挙の可能性
急激な円高
世界的な景気減速の行方
予想の理由
24年度5%、25年度6%程度の増益期待(一株利益推定:2460円)にPER(株価収益率)の15倍想定から年度末の日経平均株価は4万円程度が目処。
9月の総裁選、11月の米大統領選の大きな政治イベントがあるなかで、秋にかけては見極め姿勢が強まろう。ただ内田眞一副総裁の講演から金融当局の“金融市場への配慮”への姿勢が市場への安心感につながり、下値は限定的と見られる。
従って、今後の安値は足元の安値水準と見ている。米大統領選後はいずれの候補に決まったとしても、年度末に向けて上昇トレンドを期待する。世界的な景気減速懸念や、地政学リスク、保護主義的な貿易に関する政策などや円高リスクなど不透明要因はあるものの、我が国の賃金上昇やインバウンドなどの期待による国内消費拡大や堅調な企業業績を背景に株価は年末に向けて、最高値接近を目指すと見ている。年度末にかけては、国内金融情勢などの先行き見極め姿勢が強まる可能性があろう。
リスク要因
米国景気の下振れによるリスクオフや、米金融緩和観測の高まりによる急速な円高となれば、株価は下押しする可能性がある。大統領選後、勝利した大統領が極端な保護主義的な貿易に関する政策など打ち出すと、我が国の企業業績の増益トレンドへの不透明感が高まり、年末にかけての株高も限定的となろう。
西原里江
JPモルガン証券チーフ株式ストラテジスト

日経平均株価の25年3月末とそれまでの高値と安値の水準の予想
25年3月末 3万9000~4万円
高値 4万1000円(24年12月)
安値 3万4000円(24年10月)
24年度企業業績
4%増益 (TOPIX企業一株当たり利益)
プラス要因
賃金・個人消費回復
米国景気軟着陸
企業努力(資本効率引き上げのための成長投資、株主還元)
マイナス要因
米国景気減速
日銀利上げと為替変動
米大統領選(10月-11月初)
予想の理由
日銀会合・FOMC後の日本株のセルオフ(編集部注:投げ売り)は一旦落ち着いたが、(1)米景気後退、(2)円キャリートレード巻き戻しへの懸念は当面元に戻らない見通しだ。
セルオフを経て進んだ円高をおり込んで企業業績を下方修正し、米景気後退懸念の高まりから株価バリュエーションも切り下げ、日経平均予想を下方修正した。今後は米景気後退リスク、米株市場のセンチメント悪化リスクと、国内の経済回復、企業の資本効率改善などの好材料の総合的な影響を注視する。
リスク要因
上記の予想シナリオに対するリスク要因は、米景気後退リスクの高まり(米景気後退リスクを24年末まで35%、25年末まで45%と想定)と米株市場のセンチメントの悪化(株式から他のアセットへの資金フローのシフト)。
小林千紗
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト

日経平均株価の25年3月末とそれまでの高値と安値の水準の予想
25年3月末 3万8000円
高値 3万8000円(25年2~3月)
安値 3万5000円(24年10月)
24年度企業業績
8~10%増益 (TOPIX)
プラス要因
円安で安定すること
米国経済が底堅く推移する
日本でディマンドプルのインフレが定着する
マイナス要因
急激な円高
米国景気の急激な減速
米大統領選挙(政策変更など)
予想の理由
円の対ドルレートが145円程度で落ち着くのであれば、今期業績の下方修正幅は大きくない。為替が安定化し、米国景気減速への懸念が払しょくされればバリュエーションは回復するとみる。それまでは、ボラティリティの高い展開が続くと想定される。また、大統領選挙前は不透明感が高まる傾向にあるため、株価のリバウンドはレンジ内にとどまるかもしれない。
上期の企業業績は引き続き堅調な推移が予想されるものの、米ドル=145円程度で推移する場合、通期計画の上方修正は期待しにくい。よって、より一段の株価回復は11月の大統領選挙以降となるだろう。
リスク要因
再度の急激な円高は投資家センチメントの悪化につながる。140円以下の円高が意識されると業績への影響も懸念されるため株価は8月5日の下値を割り込むリスクがある。
米国大統領選挙をめぐっては、対中関係悪化、規制強化、関税引き上げなどの政策案が出される場合は、センチメント悪化の要因となる。中東情勢の一層の悪化もリスクだ。
一方で、米国景気減速への懸念が払しょくされ、リスクオンの動きとなればバリュエーション拡大につながり株価は想定を上振れするだろう。




