日経平均株価は史上初めて4万円台を付けたが、急騰の背景には半導体などITの好況を反映した米国株上昇との連動がある。日本では「実感なき株高」との声もあるが、米株価が大きく腰折れしない限りは日本株の上昇は続く。懸念は米国にも市場がFRBの利下げを強く織り込み過ぎている「虚」の部分があることだ。緊急特集『日経平均株価「最高値」の虚実』の#10では、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストの寄稿をお届けする。
海外から来た「日本株の急騰」
FRBの利下げ織り込み過ぎの米株価
日経平均株価は2月22日にバブル期の最高値3万8915円(終値ベース)を約34年ぶりに超えた後も株高の勢いは衰えず、3月4日には史上初めて4万円の大台に乗せた。終値は前週末から198円41銭高の4万109円23銭と史上最高値となった。
昨年末に、誰が日経平均株価の「4万円台」という現状を予測していただろうか。
この予想外の日本株急騰は海外からやって来た。背景には、米国株式市場の活況と半導体生産に象徴されるISM製造業指数の上昇、いわば米国の株価と景気循環サイクルとの日米連動がある。
日経平均株価は、IT企業などの業績好調を背景にしたナスダック指数やS&P500の上昇に連動し、引っ張られている図式だ。今後、米株価上昇が大きく腰折れしない限り、日本株も上昇し続けるだろう。
その意味ではバブルだと切って捨てることができない「実」の部分もある。
だが懸念されるのは、米国株式市場がFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを強く織り込み過ぎていることだ。日本国内で実体経済との乖離が言われているのと併せて、今の株価急騰には「虚」の部分があることにも注意が必要だ。