忍び寄る「AIバブル崩壊」リスクと、個人投資家がとるべき長期投資の資産防衛戦略Photo:PIXTA

米国を中心に多くの国でAI関連の株価は高騰し、「第二のITバブル」との懸念が強まっている。一方で、ITバブル時の株価急騰企業の多くが赤字だったのに対し、AI関連企業が利益を計上していることを背景に「今回は違う」との楽観も根強い。バブルのピークや崩壊時期を正確に当てることは不可能だが、資産配分とリバランスを通じて暴落リスクに備え、長期リターンを高める道は個人投資家にも開かれている。(龍谷大学名誉教授 竹中正治)

忍び寄るAIバブルの崩壊リスク
個人投資家はどう臨めばよいか

 米国を中心にしたAI関連投資と関連株価の高騰は「既にバブルであり、2000年初頭にはじけたITバブル同様に株価の大反落を伴う調整局面は不可避」という議論が過去数カ月、急速に浮上してきた。

 その一方で、当時のITバブルとは違うという楽観的・強気の意見も根強い。果たしてどちらが正しいのか。今回はこの問題を考えてみよう。

 結論から言うと、四半世紀前のITバブルと共通するリスク要素が急浮上しており、今後1~3年程度を展望すれば、AI関連銘柄の大反落(主要株価指数で高値から3割前後かそれ以上)を伴う調整局面が到来する可能性はかなり高いと思う。過去を振り返っても、時代を画するような大きなイノベーションが起こった時には、ほぼ必ず起こった現象だ。

 しかし、そのバブルのピークがいつ到来するかを年単位で予測するのは、偶然当たるケースを除けば極めて困難だ。ましてや株価のピークまでにどのくらいさらに上がるのか、バブル崩壊が起こった時に高値からどれほど下がるのか、その程度を予測することは不可能だ。

 ただし、投資家として自分の保有するポートフォリオの価値をバブル崩壊でも壊滅させず、むしろ暴落時に追加投資を行い長期のリターンを上げることは十分に可能だ。

 次ページでは、AI相場の現状を検証しつつ、個人投資家としてのスタンスを解説する。